後見・財産管理|成年・任意後見と財産管理(委任)契約

後見・財産管理|成年・任意後見と財産管理(委任)契約

成年後見・任意後見・財産管理契約・死後の事務処理委任契約等の有効活用による皆様の権利,財産を保護するお手伝いをしています!

 

財産管理(委任)契約とは?

身体の不調(金融機関へ行けない等)などにより家族などの第三者に財産を管理(預貯金の引き下し・購入・諸契約等)することを委任する契約です。あくまで,身体の不調等の場合のためのもので,判断能力の低下という後見・補佐・補助制度とは趣旨が異なります。

金融機関(銀行や証券会社等)は,本人でなければ原則として取引(引き下し・預け入れ・解約・購入等)はしてくれません。例外的に,代理人として代わりにそれらの手続きをする必要がありそのためには,個別に委任状を作成することが考えられますが非常に煩雑です。そのため,包括的に財産管理契約として委任(代理人として代わりに手続きをできる権限を与える)しておけばそれらの手間も省けます。

しかも,本人がお亡くなりになった後に,面倒を見なかった相続人らから「勝手に財産を引き出し取り込んだ」「こっそり横領した」などとあらぬ疑いをかけられる(濡れ衣)場合も少なくありません。

それを避けるためにも,財産管理契約を締結し,本人から真に依頼されて財産の引き出しなどの手続きを行った(使途を明記した帳簿や領収書の作成・保管は必要です)ことの証拠を残しておく意義も大きいのです。

成年後見制度とは?

・各種疾病や外傷、認知症(にんちしょう),知的障害(ちてきしょうがい),精神障害(せいしんしょうがい)などの理由で判断能力(はんだんのうりょく)の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約(けいやく)を結んだり,遺産分割(いさんぶんかつ)の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約(けいやく)であってもよく判断ができずに契約(けいやく)を結んでしまい,悪徳商法(あくとくしょうほう)の被害にあうおそれもあります。

 

・このような判断能力(はんだんのうりょく)の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度(せいねんこうけんせいど)です。(法務省HP参照)

成年後見制度は,大きく分けると,法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。

・法定後見制度(ほうていこうけんせいど)は,「後見(こうけん)」「保佐(ほさ)」「補助(ほじょ)」の3つに分かれており,判断能力(はんだんのうりょく)の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。

 

・法定後見制度(ほうていこうけんせいど)においては,家庭裁判所(かていさいばんしょ)によって選ばれた成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)(成年後見人(せいねんこうけんにん)・保佐人(ほさにん)・補助人(ほじょにん))が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約(けいやく)などの法律行為(ほうりつこうい)をしたり,本人が自分で法律行為(ほうりつこうい)をするときに同意を与えたり,本人が同意を得ないでした不利益な法律行為(ほうりつこうい)を後から取り消したりすることによって,本人を保護・支援します。

⇒様々な問題点があるとの指摘から、法改正を求める見解もあります。

成年後見人等には,どのような人が選ばれるのでしょうか?

・成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)には,本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて,家庭裁判所(かていさいばんしょ)が選任することになります。本人の親族以外にも,法律・福祉の専門家その他の第三者や,福祉関係の公益法人(こうえきほうじん)その他の法人が選ばれる場合があります。成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)を複数選ぶことも可能です。また,成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)を監督する成年後見監督人(せいねんこうけんかんとくにん)などが選ばれることもあります。

・成年後見制度を利用しても,選挙で投票することができます

これまで,成年後見制度のうち「後見(こうけん)」が開始された本人については,公職選挙法(こうしょくせんきょほう)の規定により,選挙権(せんきょけん)が制限されていましたが,平成25年5月27日,「成年被後見人(せいねんひこうけんにん)の選挙権の回復等(かいふくとう)のための公職選挙法等の一部を改正する法律」が成立し,「後見」が開始された本人の選挙権の制限はなくなることとされました。
これにより,平成25年7月以降に公示・告示される選挙から,「後見」が開始された本人も投票をすることができることとなりました。
なお,「保佐(ほさ)」及び「補助(ほじょ)」が開始された本人については,もともと選挙権は制限されていませんでしたので,これまでどおり,選挙で投票することができます。

成年後見(制度)の問題点

・成年後見人には医療契約締結権はありますが,治療(手術・検査など侵襲行為といわれるもの)に関する同意権がないとするのが現行法の立場です。

 

・しかし,同意なしで侵襲がある医療を行うことは刑法上の傷害罪,暴行罪,場合によっては殺人(未遂)罪の構成要件に該当しますし,民法上も違法となり得るのです(同意があることによって,違法性が阻却され,その結果,刑事罰も民事上の責任を負わないという複雑な解釈になっているのです。)。

 

・ご本人が同意できるのであれば成年後見制度の対象にならない以上極めて不合理な状況が続いています。法改正の動きもあるようですが,反対論者や様々な問題が生じる可能性もあり容易には解決できないかもしれません。

 

法改正情報

 

 

認知症などで判断能力が不十分な人に代わり,財産管理や契約行為を担う「成年後見人」の権限を拡大する改正民法などが平成28年4月6日午前の参院本会議で,与党と民進党などの賛成多数で可決,成立しました。

 

 

 

家裁が認めた場合,被後見人宛ての郵便物を開封・閲覧したり,被後見人の死後に火葬手続きをしたりできる規定を設けました。平成28年10月にも施行される予定です。
また,成年後見制度の利用促進を図る法案(成年後見制度利用促進法)も平成28年4月6日の参院本会議で修正可決しました。

成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28 年法律第29 号)及び成年後見制度利用促進基本計画(平成29 年3月24 日閣議決定)に基づく成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律が令和元年6 月24 日に成立し同月14日に公布されました。

これは,成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由として不当に差別されないよう、187 の法律(他の法律の欠格条項を準用等している法律を含む。)における成年被後見人等に係る欠格条項その他の権利の制限に係る措置の見直しを行うものです。今回の改正により、今後は、成年後見制度を利用していることを理由として資格・職種・業務等から一律に排除するのではなく、それぞれの資格・職種・職種等にふさわしい能力の有無を個別的・実質的に審査し、判断することとなります(厚労省資料)

・意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインも公表されています。

 

成年後見 財産管理契約・任意後見等の法的支援,申請代理などを積極的に行っています。個人信託等を活用することも有効です。お気軽にあすか総合法律事務所へご相談(初回90分まで無料)ください。

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